秘密のキスをしたとしても。



練習、と意気込みながら亜美はその場で空手を始めた。


あはは、と笑い、私は窓から見える晴れた空を見る。


…お兄ちゃん、お兄ちゃんは今なにしてるのかな。


もし、私と比陰くんが屋上で二人で過ごして居たっていう噂が広がったら、お兄ちゃんは何を思うのかな…。


ヤキモチ、妬いてくれる──?


「…なわけないよね」


「ん?何か言った?」


亜美が目をパチパチさせながら不思議そうに私に聞いた。


それに私は笑顔で首を振る。


何でもない、と──。




**──人のことを羨ましいって思ってはいけない。


けど…、私は周りを気にせずに一緒に居られるカップルが


羨ましいです────。



    
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