秘密のキスをしたとしても。
手を繋いでいけたら。
*thetext 手を繋いでいけたら。
「B組みんな居るかー」
太陽の陽射しが眩しく、立っているだけで額から汗が流れそう。
今、私が居るところは地元の小さな山の麓(ふもと)。
一年生、A〜H組までが一列に並び、出席を取っている。
今日は一年生の親睦会を兼ねて、小さな山を登るという行事の日。
私も含め、みんな山ガールや山ボーイの様な格好をして見慣れない風景にキョロキョロしてしまう。
「私、山登りなんてやだー」
出席番号が私の前の田原さんがこちらを振り向き、本当に嫌そうに眉を寄せながら私に言った。
「でも小さな山だし、斜面も全然緩やかだよ。普通の道歩いているみたいな感じ」
「本当?てか、富川さん詳しいねー!登ったことあるの?」
田原さんは軽そうなリュックサックを地面に置きながら私に聞く。