秘密のキスをしたとしても。


「花、バイバイ!」


「うん、また明日」


亜美と別れて一人で家までの道のりを進んだ。


そして静かにため息をつく。


…羨ましい。


世界中のカップルが羨ましい。


この頃毎日この言葉を思い浮かべる。


……私にも好きな人は居る。


かっこよくて、頭も良くて、優しい人。


…でも、それは叶わない恋、いや、叶うことのできない恋。


だって、その人は────


「花!」



    



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