秘密のキスをしたとしても。



夕飯はお母さんが作って行ったカレーを食べる。


私が夕飯の準備をしたから、後片付けはお兄ちゃんがやってくれた。


何回も自分で洗うと遠慮したが、あの笑顔で大丈夫言われると何も言えなくなる。


キッチンで食器を洗ってるお兄ちゃんの後ろ姿を見ながら、私はソファの端に身を縮めて座っていた。


カーテンを閉めているが、微かに鳴る雷の音と光。


恐怖で自然に居ることが出来ない。


「花、風呂入っておいで」


「…う、うん。わかった…っ」


私はお兄ちゃん怯えを見せないように即座に風呂場へ向かった。


子どもだと…思われたくないから──。



    
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