秘密のキスをしたとしても。
「こ…恐い…」
風呂場にまで聞こえてくる雷の音。
手が震えて服を脱ぐことが出来ない。
「大丈夫…大丈夫…」
大丈夫、とそう自分に言いつけて足早にお風呂へと入った。
風呂から上がったのは十分後。こんなに早く上がったのは初めてだ。
髪を乾かして耳を塞ぎながらリビングへ戻ると携帯をいじっているお兄ちゃんが居た。
その姿に雷に恐怖を感じながらも胸キュンしてしまう。
「あれ?花、上がってたの?」
私の気配に気づいたお兄ちゃんがこちらを向きながらそう言った。