秘密のキスをしたとしても。


お兄ちゃんの匂いに包まれて眠ったせいか、幸せな夢を見た。


ふわふわした辺りが真っ白な空間に私とお兄ちゃん、二人だけの姿。


私とお兄ちゃんは向かい合って立っていて、お兄ちゃんは何も言わず笑顔で私を見つめている。


ここは夢の中…、私の気持ち今だけ伝えても…いいかな…?


笑みを浮かべて目の前に立っているお兄ちゃんに私は口を開いた。



「お兄ちゃん………──、好き────…」


初めて口に出した──、私の気持ち──。








「────花……」


真っ暗な部屋の中、スヤスヤ気持ちよく眠る私の後ろで、私の寝言を聞いていた人物が私の名前を呟いた。


そう、夢で初めて口に出した気持ちは、はっきり現実世界でも言っていたなんて知るはずがなかったんだ…。


それを聞いた後、拳を握りしめて、反対の手で私の頭を撫でていた優しい手のひらの存在さえも────。



    
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