秘密のキスをしたとしても。


「よかった。まだ帰ってなくて」


「…一年校舎までどうしたの?」


わざわざ一年校舎まで来てくれて、泣きそうなくらい嬉しかったが、照れ隠しで素っ気なくしてしまった。


…あー!私の馬鹿野郎!これじゃあ気まずくなった時と同じじゃん!


自分が言った言葉を後悔して居ると、気にもしていない様にお兄ちゃんが口を開く。



「いや、今日、部員みんなでご飯食べに行くから母さんに晩飯いらない言っといてほしくて」


「そ、そっか。わかったよ!」


「ありがとう。じゃあ」


いつもの曇りない笑みを見せ、お兄ちゃんは走り去って行った。


お兄ちゃんが居なくなった瞬間、周りの女子達はキャーキャー言ったり、私を睨んだり…。



    
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