秘密のキスをしたとしても。
必死に人混みをかき分け、マックの中に辿り着いた。
辿り着くこの短い距離で、私の隣に居た比陰くんを見てた人が何人居ただろうか。
…私の周りにはモテる人ばかりだなぁ。引き立て役にはなっているかな…。
そんなことを考えながらボーとしてると、頭を軽く叩かれた。
「痛…」
「何ボーとしてんの。早く注文しな。後ろ詰まってる」
「あ…っ、ごめんなさい」
比陰くんに言われて後ろを振り向くと、まだかよ、と言いたげな表情をした人達が行列をつくって私を見て居た。
それを見て慌てて謝り、とりあえずポテトだけを頼んで即座にその場を退いた。
「具合悪い?」
俯いて居る私に比陰くんは静かに聞いてきた。