恋の施し
郁の心
「今頃、響花はアイツと仲良くやってんのかなぁ」
それは俺が最後の恋愛相談を響花にする少し前の話だ。
「神崎君。ちょっといい?」
「たしかお前は…」
「相田楓。響花のクラスメートって言っても分からないかな…」
俺は響花の想い人と出会っていた。
「…知ってるよ。で、俺に何の用?」
知らないわけがないだろ。
響花が嬉しそうに話す憎い奴なんて。
俺が今この世で最も憎いと感じている存在なんて。
「単刀直入に聞くけど、響花と神崎君って付き合ってるの?」
コイツ…まさか……