恋の施し

｢…いいや。…何でそんなこと聞くんだ？｣




どうか違って欲しい。
本当は目を見れば分かる。分かってる。コイツは俺と同じ目をしている。

だけど聞かずにはいられなかった。





｢俺、響花のこと好きなんだ。…だから、彼氏なら告白する前に断っておこうと思ってね｣




その言葉を聞いた瞬間、俺はカナヅチで頭を殴られたような衝撃が走る。




…やっぱり、そうか…なら、響花と両想いだったのか…


そりゃあそうだ。

あれだけ可愛い響花に好意の眼差しを向けられて気にならない奴の方がどうかしてる。




良かったな…響花。

後、俺がしてやれる唯一のことは―――…




｢そうか。俺の事は気にしなくて良いから｣



｢それは良かった｣





あぁ…クソ。なんて良い笑顔しやがるんだ。吐き気がする。胸クソ悪ぃ…



俺はただ、暫く動けず、アイツが去って行く背中を眺めているだけだった。


ずっとその場に立ちすくんでいた。