恋の施し


「くっそ…」




俺の方がずっと響花のこと好きだったのにな…。


本当は、中学に入ってやっと響花に告白しようと思ってたんだ。



だけど、事件が起きて、響花は“告白”に対してトラウマを引きずってしまった。



…今のままでは響花に告白できない。


告白をしても彼女を困らせるだけだ。




―――そう考えると、自分の想いを勝手に伝える事が出来なくなってしまった。




募る響花への想いを少しでも軽くするため、女でいっぱい遊んだ。


つまりは響花の身代わりとして。最低な行為だとは分かっている。


でも心のどこかで響花以上の奴が現れる事を期待していたという想いもあった。



だけど、やっぱりろくな遊び方しかしてない俺にそんな素敵な女が現れるはずもなく…そもそも半端な気持ちで好きならこんなにウダウダ悩む必要もなかった。



高校に入ってもやっぱり響花への想いを忘れることはできなくて…相変わらずの日々を過ごしていたんだ。




そうしないと、俺は――…言ってしまいそうで。声に出して伝えてしまいそうだった。




“響花が誰よりも大切で大好きなんだ”って。
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