恋の施し


その夜。


雪音から電話がかかってきた。





「もしもし郁?」




「…何だ?」




「明日、響花があんたの家行くから。
きちんと話してあげなさい。
――…今までの想いも全部」




「!?
響花が来るのか!?どうして!?」




せっかく人が…




「きちんと話したいんだって。だから、響花も逃げなかったんだから、郁も逃げちゃダメよ?」




マジかよ…


神様につくづく俺って嫌われてんだな。今知った。


どう想ってる?だなんて聞いたが“楓が好きなの。郁は絶対それ以上にはなれない”とか聞きたいんじゃねーっつの。察しろよ。


ヘタレな俺はまだ心の準備が出来てねーのに…



とりあえず響花に八つ当たりだけはしないように今から暗示でもかけとくか…
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