恋の施し
恋の施し
翌日。
私は緊張しながらも郁の家を訪れる。
郁の家に行くだけなのに緊張するなんて初めてだ。
「響花、いらっしゃい。
…待ってた」
そう言って優しい笑顔で迎え入れてくれた郁。
だけど、何だかお互いぎこちなかった。
雰囲気が少し重いのだ。
「…そう言えば郁のお母さんやお父さんは?」
玄関から直通のリビングへ行くと、郁以外の人の気配がまるでない事に驚く。
休日だしこの時間なら、いつも2人とも家に居るはずなのに。
「今日はたまたまどっちも仕事でいねーから俺だけ留守番なんだ」
つまり、今この家には郁しかいないってことか。
あぁ、ヤバい。
余計に緊張してきた…