恋の施し


「俺より先に言ってんじゃねーよ、馬鹿」


「なっ…馬鹿って……」




人の勇気を振り絞った告白を馬鹿って…信じられない!!


そう文句を言おうとしたら、軽いキスで唇を塞がれた。



そうして今度は私の虚をつかれた顔を見てフッと笑い、




「響花……ごめん、もう我慢できねぇ」




「えっ………んっ…」




郁はそう呟くと今度は激しいキスを私にしてきた。


何度も角度を変え、私の唇を奪う。


さらに郁の舌が私の口内をかけまわってきた。



…………こんなキス、知らない…



流石に息が苦しく、羞恥心の面でも耐えられそうにかったので、郁の胸をドンドンと叩いた。




すると郁が少しだけ離れてくれる。



――…と思ったら今度は首筋にキスを落としてきた。





「ち、ちょっと郁!
私、郁の気持ち全然聞いてない!……言ってくれないと嫌だ…」





郁の気持ちも聞けないまま、他の女の子みたいに流されるなんて嫌だ…
< 113 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop