恋の施し
30分後。
漸く落ち着いた頃。
というより私が限界だった。
「ハァ……響花、大好き」
そう言って私の腰に自分の腕を回し、ギュッと抱きしめてくる。
「っ!……う、うん…」
ここで私も大好きだと言えれば良いけど、今の私にはコレが精一杯の返事だった。
好きだというエネルギーは先ほど使い果たしてしまったのでもうコレ以上は言えません。…また時間かけてチャージしないと…無理です…
あーなんて臆病なんだろう、私って…
「これからは、恋愛相談で教えれなかった事をたっぷり教えてやるからな?」
そうして悪ガキみたいな表情をする郁。
あまり良い予感はしないけれど…
「…恋の手解き続行中?」
「いや、これからは“恋の施し”だな」
そう言った郁はニカリと飛びっきりの笑顔を私に向けてくれた。