恋の施し



バンッ


勢いよく教室の扉が開けられる。


教室の皆は何事かと思って一斉にそちらの方を向く。



それでも、そんな視線を一切気にしない彼は自分の気持ちを見事ぶちまけてくれた。




「響花ちゃん!郁が“響花と口聞けなくなったー”って絶望的な声で叫んでるんだけど、何言ったの!?」






―――…浩平君こそ大声で何言ってくれてんの?


…もう、顔が上げられないです。




さすがは郁の友達だ。






「……ごめん、私トイレ行ってくる」




郁といい、雪音といい、楓といい、浩平君といい、本当に勘弁してほしい。





………恥ずかしいんだって…
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