恋の施し
「ねぇ、郁ってさ、未だに告白とかされてるの?」
いつもと変わらないたわいもない会話。
私はお弁当を広げながら尋ねる。
まぁ、でも郁とは長い付き合いだし。
一緒に居る分にはそんなに気にはならない。
周りの目は凄く気になるけどね。
「……まぁな。何?もしかして妬いてくれてんの?」
焼く?…いや、妬くの方か。
「いや、別に。
ただやっぱり郁は凄いなーと思っただけ」
「は?何で?」
郁は自分のお弁当のから揚げを掴みながら私に聞き返す。
だから私は思った事を口にした…
「彼女いるって分かってても告白されるぐらいの魅力が郁にはあるってことじゃない」
…だけなんだけど、何だか不機嫌そうに眉根に皺を寄せる。
私何か気に障るような事を言ったかな?
「そんなのいらねーし」
すると郁がポツリとそう言い捨てた。