恋の施し


「こっち向けよ?
その顔は俺だけの特権なんだから」




だから、何で次から次へとそんなに甘い言葉が出てくるの!?

このタラシ!!



「ほら、早く顔見せろよ?」




…絶対、この顔にあてている手は離さない。見せてたまるか。



「抵抗しても無駄だから」





すると私の抵抗は呆気なく敗れ、両手を郁に思いっきり掴まれ顔を露わにさせられる。





「んっ…」




そして次の瞬間にはキスされてしまった。

いくらここが人目のない空き教室でもいつ人が来るのか分からないのに…

もしかしたら、この前みたいに浩平君が来るかもしれないのに…




だけど、郁のキスが蕩けるように甘くて上手いから…私は頭がいっぱいになって何も考えられなくなってしまう。



このキスは、苦手だ…



上手く、息が出来ないから…



「ちょっ…い…くっ…」




「…誘うなよ。やめられなくなるだろ?」



マジでこの人やめる気配ないんですけど?
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