恋の施し


「と、とりあえず!昼とかは一緒に食べるけど、必要以上は接触しないでね」




何だか危険を察知した私は用件だけを素早く告げる。

あんな事言われても自信はすぐに付けれるものでもないし、恥ずかしいのも簡単に拭えるわけがない。

郁みたいに振舞えって方が無理な話だ。



でも、郁は私の言葉が納得いかないようで…




「……それ彼氏に言うセリフか?拷問だろ?」



「彼氏なら察してよ!」




この、彼女の羞恥心を。


公衆の面前でキスされたり、誰かがみてるかもしれないのに激しいキスされたり……あー…思い出しただけでも顔が熱くなってしまう。


それに平常心じゃないと雪音や楓にからかわれるのだ。


瀕死状態に必殺技を喰らわされている私の身を少しは理解して欲しい。





「じゃあ、俺はどこならしていいわけ?」




そうきたか。

私は頭をフル回転させて考える。
テストの時でもこんなに頭を検索させた事はない。




「うーん…家、とか?」





無難な選択をしてみた。
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