恋の施し
まずはアピール
「なるほどねー。やっぱり郁は上手いわねー
アイツもダテに経験値増やしてなかったのねー」
郁と別れて教室に戻り、男慣れするために“好きな異性の男”として見ろって言われたことを報告すると、雪音からそんな感想が返ってきた。
因みに雪音は同じクラスだが、郁とは別々のクラスだ。
「まぁ、郁は恋愛経験豊富だからね」
私は雪音の言葉にうんうんと同意する。
「私から見たらまだまだウブな少年だけどね」
そして雪音も恋愛に関しては長けていたりする。特定の彼氏を作ったりするとかそんなのではないけれど、人の心情を読み取るのが上手いのだ。…そう言えば雪音が彼氏居るんだろうか?聞いた事ないけど……ってん?ちょっと待ってよ。
「え?
じゃあ何で雪音は郁を薦めたの?
恋愛経験が豊富だから相談役適任って言ってたのに」
今の発言からすると、やっぱり雪音の方が郁より上って事だよね?
「あ、いや、まぁ…そっちの点は大丈夫よ。
…いずれ響花も分かるよ」
たまに親友でも雪音の言うことが分からない時がある。
とりあえず私はうんと頷いておいた。