恋の施し
昼休み。
いつものようにキスマークを確認し、つけられる儀式の後、私は郁に気になっている事を尋ねてみた。
あー…せっかく消えてきたのに…しかも毎回首って……うん、もうこの辺はツッコまないでおこう。
顔が無駄に熱くなるから。
私は熱を払うようにブンブンと頭を振って郁を見る。
「あの女の子…名前何て言うの?」
「は?女?」
だけど、郁には全く心当たりがないみたいで。
「ほら、朝郁と話してた子」
「あぁ…アイツかって教室来たのか!?」
「郁のクラスの担任に用があったからね」
「声かけてくれよ…」
そこまで落胆しなくても。
「……いやだって熱心に数学教えてるのに邪魔しちゃ悪いでしょ」
声掛けようかと思ったけどきちんと空気を読んだ。
むしろ褒めてほしいくらいだ。