恋の施し
「あぁー…何でアイツに数学教えたんだよ…俺のバカ」
「そんな悔やまなくても…」
「だって初めて響花から声をかけてくれたかもしれなかったのに…」
え?そうだっけ?
でも確かにそう言われてみれば、昼食に誘うのも一緒に帰ろうと誘うのも私はしたことがなかった。
なんだ郁、そんな事思ってたのか…
「じゃあ、明日は私から声を掛けるよ」
「マジか!何か嬉しい!」
…なんだか犬に懐かれた飼い主のような気分だ。
こんなキラキラした笑顔を向けられて悪い気のする人は居ないだろう。
「じゃあ、明日の昼休み誘いに行くから教室で待ってて」