恋の施し
「分かった。待ってる。
………ん?今日の放課後は?誘ってくれねーの?」
確かに。
郁の言う通り、お互い部活もしていない私たちはいつも一緒に帰っているので今日の放課後に郁の教室へ向かえば良いのだが…
「私、課題やるの忘れてて…今日中に出せって朝先生に言われてるから先帰ってて」
実は郁の担任に用があったのはその件での事だった。
「良いよ。待ってる」
だけど郁が嫌な顔どころか笑顔でこう答えてくれるので。
――――私の鼓動がやけにうるさくなってしまう。
「ありがとう」
郁のこういう昔から優しいところ、本当に好き。
私は素直に感謝の気持ちを述べる。