恋の施し
「おい、席着けよー。
HR始めるぞー」
担任がだるそうな声を響かせながら、教室へ入ってきた。
我らが担任はなんとも面倒くさがりな性格なのだ。いつか職務怠慢で訴えられるのでは…と思うぐらい。
授業も気だるげ。HRも気だるげ。…とりあえず何もかもだるそうな印象を受ける。
でも、まぁ学校生活で私達に支障はないからちゃんとする事はしているんだろう。これだけ悪口を言っているけれど、別に担任の先生が嫌いなわけじゃない。
だって…
「あー、相田は体調不良で早退したから誰かプリントを届けてくれないか?」
これはチャンス!!
…だけど、手を挙げる勇気がない。
私達の高校は地元の人が通っている事が多く、こういったやりとりは珍しくない。大抵は友達が名乗りを挙げておしまいに終わる。…というよりこんな所で手なんか挙げたら一発で意識してるのクラスの人にばれちゃうよね…
やっぱり無理だ、諦めよう…と思ったその時だった。
「先生、私が行きます」
手を挙げたのは、そんな周りの目をものともしない雪音だった。
ゆ、雪音〜〜っ!
雪音はちらっと私を見てウィンクしてきた。
うはっ……ありがとうございます!!雪音様!!貴女が眩しく見えます!!
やっぱり相談して良かった!!