恋の施し


「そうか原田。助かるよ。放課後職員室まで来てくれ。その時に今日のプリント渡すから」





そう、担任の好きな所はこういう所にある。必要以上に詮索をしない。
何で女子のお前が?とか他に家近い奴居るだろう?とか一々ツッコんだりしないんだ。良く言えば生徒の自主性を重んじている人なんだ、この人は。

悪く言えば単に面倒くさがっているだけだけど。





「はい」




ニコリと優等生らしく微笑む雪音。
後できちんとお礼言おう。


コレで私は雪音の友達として、親友の恋を応援してるのでプリント届け付き添いますという名目が出来る。
しかも、私が相田君を好きだとはばれない!…なんてせこいマネかと思うかもしれないけれど、私はこういう人間なのだ。好きです好きですアピールを積極的に出来ない。…我ながら情けないけれど…






そうしてあっという間に放課後が訪れた。



私の胸が少し騒がしいのが分かる。…HRからずっとこんな感じだ。



落ち着け、自分…私はあくまでも付添人だ、そう、付添人なんだから!


私は心の中でそれを念仏のように唱え、なんとか冷静さを取り戻す。
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