恋の施し
「気にしないで。雑魚だったし。……立てる?」
座りこけている私に手を差し伸べてくれる浩平君。
紳士そのものだ。
だけど、私はその手にはすぐに手を伸ばさず、彼の手助けを断った。
「うん、もう暫くしたら立てるようになるから、放っておいてくれて大丈夫」
「……大丈夫じゃないじゃん。ほら、捕まって?」
今度は腕を差し出してきてくれた。
こんな情けない奴、放っておけば良いのに…
本当に紳士だなー…
今度は断るのも申し訳なくて甘える事にした。…ダメすぎるだろ、私…
「本当に…あ…りがと……」
「震えてる。人目があるし…どこか落ち着く場所へ行こう」
そうして浩平君は私の腰を優しく支えながら歩き出した。
浩平君に震えてる事までバレてしまうなんて…私は一体どうしたら良いんだ…
浩平君は私とは関係ない郁の友達なのに。
気まずい…というか申し訳なさすぎる…