恋の施し
「浩平君、私郁の事好きだよ。
…だからズルいけど、縁は切りたくない」
彼女のポジションにはなれなくても。
久谷さんとの関係が安定して、私も郁への想いが消えたなら。
また3人で笑い合いたいと思っているんだ。
「…じゃあ、どうして郁に嘘ついて振ったんだ?」
「……邪魔しちゃ悪いから」
「ちょっと待って。邪魔って何?」
私が嫌いだと郁に言った事は聞いているくせに、郁から久谷さんの事は何も聞いてないんだろうか?
「…え?郁から聞いてないの?
久谷さんと郁、付き合ってるんだよ」
「はぃい!?」
この口ぶりは何も聞かされていなかったみたいだ。
…仲が良いはずなのに、意外だ…
私の事は話してたくせに。訳分かんない。
だから私は手っ取り早く今日の久谷さんとの会話を告げた。