恋の施し







母さんや父さん、兄貴に弟…つまり俺以外の家族全員に何を言われても久谷愛だけは家に入れるなと釘を差し、それでも懲りずにやって来るアイツを煩わしく思っていたある日。



また雪音から電話がかかってきた。


学校を休んで一週間は経つと思う。





『郁、明日は何が何でも学校に来なさい』




「……行きたくねー」




『お願い。必ず来てよ。
あの、浩平とかいう奴が郁の家まで迎えに行くらしいから、無視しないであげて。良い?』




「……何でそこまでするんだ?何か明日あるのか?」





というより雪音と浩平っていつの間に知り合ってんだよ?
訳分かんねー





『行けば分かるよ。
じゃあ、そういうことだから』




…これで通話が切れた。


これだけの通話で一体何を察しろと?
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