恋の施し
翌朝。
「いーくーくーん!!行きましょう!」
………マジで来やがった。
しかもテンションがかなり鬱陶しい。
声で呼ぶなんて一昔前の呼び出し方せずにインターホン押せよ。近所迷惑だろうが。
「お?
やっと響花の失恋に立ち直って登校か?」
「……うるせ、兄貴には関係ない」
今はちゃらんぽらんな兄貴に付き合ってやる余裕は俺には無いんだ。
「ハハハ。元気出せ。響花は俺が貰ってやるからさ!」
「絶対嫌!!」
兄貴みたいなタラシは論外だから。
響花を嫁にもらって良いのは俺だけなんだっつーの。
つーか、俺以外の奴には絶対譲らねー
あの、いけすかねー野郎ともいつかは縁を切らせてやる…響花がちょっとでも悲しい顔を浮かべた時点で抹殺してやる。覚えてろ。
…せいぜい今だけだからな。
もうちょっと理性を保てる大人に俺が成長したら、必ず奪ってやる。
「ほら、友達が待ってんぞ?さっさと行けよ」
そう言って、俺の背中をバンバン叩いて玄関扉へと押しやる兄貴。
「……行ってきます」
ハァ―…
朝から兄貴はやっぱりキツい…
疲れるんだよ。