恋の施し
「良かった。郁が登校してくれる気になって」
ため息を吐きながら、家から出て来た俺を見て浩平は言った。
「……雪音に頼まれたからな」
雪音は人になかなか頼まないタイプだ。
アイツが頼む時はよっぽどのことなんだ。
だから、俺は仕方なく…本当に仕方なく学校へ行く事にしたんだ。
雪音に言われてなかったら、絶対学校なんて言ってねー
またアイツの顔見たら殴り合いしそうだし。
「ふーん?…お前ら3人の関係が今いち分からん」
「俺たちはただの幼なじみなんて一言で片付けれる関係じゃねーんだよ」
俺は今、俺たちを“ただの幼なじみ”としてとかほざいた女に鼻で笑ってやった。
俺達は、世間の幼なじみよりずっと強い絆がある。