恋の施し
学校に到着すると、女子にはかなり騒がれた。
「あ、来たよ!」
「良かったー」
「やっぱりカッコ良い!」
―――…まだ、こういう女子は良い。
うるさいけど、この程度なら“カワイイ”で済むレベルだ。
だけどな?
「あ、やっと会えた。ずっと寂しかったんだよ」
―――――そう、隣の席のコイツ――久谷愛――は全然良くねー。カワイクもねー
俺は無視を徹底した。
「無視してるの?
あぁ、照れてるんだね。郁は可愛いなー」
ハァ――――――…
なんて面倒くさい奴に俺は好かれてしまったんだろう…?
もう、学校へ来た事を嫌に思った。
一体雪音と浩平は何を考えているんだよ?