恋の施し
そして放課後。
浩平や雪音があんだけ言う割には特に何も無かった。
ただ、久谷がうざかったぐらい。
全部無視したけど。一言も話さなかったけどウザかった。
「あ、郁!ちょっと私と来て!」
雪音が俺を呼び出し、腕を引っ張られた。
「お、おい?どこ行くんだ?」
「良いから来て」
俺は雪音にされるがままについて行った。
どこへ連れて行く気だ?
きっと、コレが雪音や浩平の“考え”なんだろう。
だから俺は何も抵抗しなかった。
それに雪音に腕を掴まれるのは不快じゃねーし。
俺が心を許せる女性って言ったら、雪音や響花ぐらいだ。
きっと雪音や響花みたいな性格だから3人でここまで付き合い出来たんだと思う。
この中で誰か1人が欠けていたら、この絆は成立しなかっただろう。
もっと…複雑で喧嘩ばかりで…もしかしたらドロドロした関係になっていたかもしれない。
俺が響花の近所に引っ越さなければ彼女とは知合わなかったし、
響花が親友で幼なじみの雪音を紹介しなければ縁は無かったし、
雪音が俺を気に入ってくれなければ深い絆が続く事もなかった。
普通に考えたら、女2人に男1人なんて比重はおかしいだろ?
バランス悪いし。
でも、コレが俺達なんだ。