恋の施し
交錯
郁が久しぶりに登校してきた。
大丈夫か顔を見たかったけど、きっと久谷さんがきちんと管理してくれていると思い、思いと止まった。
そして放課後。
私は突然、浩平君に呼ばれた。
「ちょっと話があるんだ。俺と一緒に来てくれる?」
「うん、分かった」
私が連れて行かれたのは校舎裏だった。
郁とは昼間によく来たけど、この時間になるとさすがに少し暗い。
……浩平君は大丈夫と分かっててもちょっと不安になる。
この場所の雰囲気は“あの場所”とよく似ているから。
「浩平君、話って?」
とにかく早くここから立ち去りたかった。