恋の施し


「それなら何で私のセリフにうろたえたの?
どうして私の後ろのの茂みを一瞬見て確認する素振りをしたの?

……誰か、居るんでしょ?」




「居ないって。俺だけだから。
俺がチラッと見たのは偶々。意図なんてない。


……それより響花ちゃんは俺が告白してるのに無視?」




「あ……ごめんなさい…

でも、気になって…」




私は後ろの茂みを確認する。


人影は見えない。


だけど、人が居たとしても十分に隠れきれるほどのスペースはあの場所にはある。




「その謝罪は何に対する謝罪?
俺の気持ちに答えられない事?それとも告白を無視して茂みばかりに注意を払っている事?

誰が好きでどんな気持ちなのかもっとハッキリ断ってくれないと引きずっちゃうだろ?」




「でも…浩平君は私の気持ちを知ってるんでしょ?」




ハッキリ言う必要ないじゃないか。




「…そうやって簡単に割り切れるもんじゃないから…だから、ハッキリ言ってくれないと諦めきれない」




でも……

やっぱり茂みが気になってしまう。
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