恋の施し
「私は、郁が好きです。
―――だから…ごめんなさい」
そう伝えた瞬間だった。
「響花っ!!」
―――…えっ?
この声は…
「響花は俺のこと好きなんだな?」
私は驚きを隠せない。
「………さっきの、聞いてたの?」
しかも郁の出て来た方向って…あの浩平君が確認していた茂みだった。
つまりは―――そういう事で…
「聞いた。でも、もう1回言って」
……聞かれてたら仕方ない。
「……私は郁が好き…」
ごめんなさい…と言葉を続けようとしたら、俯いて項垂れている私を郁がぎゅっと抱きしめてきた。