恋の施し
「まぁまぁ。
つーか俺と原田のおかげでこうやって誤解解けたんだから俺らに感謝する方が先じゃねーの?
あのままじゃあ、絶対お前ら終わってたぞ?」
と浩平君。
「…まぁ、演技が下手で響花に見破られそうになった時はヒヤヒヤしたけどね」
と雪音。
…一体2人はいつの間にそんな計画を立ててくれたんだろう?
そう言えば最近、雪音と一緒に下校していなかった事を思い出す。
雪音には本当に頭が上がらない。
いつか私も雪音が困っていたら手伝ってあげたい。
――…でも、雪音は自分の事はいつも1人で解決しちゃうからなぁ…
その前にとりあえずは2人にお礼だ。
「雪音、浩平君、本当にありがとう」
「そうだな、浩平、雪音ありがとう」
私と郁はほぼ同時に近い形で2人にお礼を言う。
「……素直だな」
郁にお礼を言われなれてないのか、浩平君は少し鼻をこすって照れる素振りを見せる。
「郁は素直だよ。昔も今もね」
雪音は嬉しそうに微笑んでそう言った。
「あのさ…郁。そろそろこの腕離してもらえません?」
「嫌」
普通に会話しているが、郁は私を後ろから抱き締めたまま話していた。
スキンシップは相変わらず健在だった。