恋の施し
後日談~ある日の会話~
「そう言えばさ響花、ばっさりと髪、切ったんだな」
中庭で2人、お弁当を食べていたある日のこと。
郁が突然切り出した。
「あぁーまぁね…
でも、またのばすよ」
私は髪を少しいじりながら、答える。
「?
どうして?」
「…だって郁、前に言ってたから」
「何を?」
まぁ、覚えてなくて当然だよね。あんな前の事。
「随分前にね、郁が言ってたんだよ。“髪が長くて笑顔が素敵な人が好き”って」
「あぁー…もしかして響花が俺に好きなタイプを聞いてきた時のことか?」
あ、覚えてたんだ。
その事に少し嬉しさを感じた。
「そうそう。
笑顔は……まぁ、難しいから…頑張るけど。
…髪なら…って思って」
私でもできる。
郁の好きなタイプに近づける。