恋の施し
「…悪かったよ。
俺が悪かった。もう、二度としねぇから、今まで通り俺の傍にいてくれるか?」
――…なんでそんなに悲しそうな顔をするの?
たまに見せるその郁の表情に私はいつも胸が痛くなる。
自分が嫌になるのに。
「本当にごめんな?
……だから、そんなに苦しそうな顔しないでくれ。
俺は笑った響花が好きだから」
「……………よ」
「?」
「だったら、そんなに悲しそうな顔しないでよっ!」
私の言葉に郁が大きく目を見開いた。