恋の施し
教室に戻ると楓が声をかけてきてくれた。
どうやら彼は本当に体調復帰したようで。
本当に良かったと思う。
「響花ってさ、もしかしてあの郁王子と付き合ってるの?」
王子なんて呼ばれてるんだ…
ってそれより、
「…“あの”って何?」
「女遊びの激しい魅惑の王子様って意味だったんだけど…」
うわー…当たらずも遠からずって感じかな?
「あはは。
でも郁は優しい人だよ」
噂だけ聞いたら郁が本当に最低な奴だと思われてしまうので、一応ここはフォローしておこう。
それに郁を悪く言われるのは嫌だ。