恋の施し


別に悪いと言っているのではない。

良い事もたくさんある。それこそ感謝しきれないくらい。



私が学校で熱を出した時、真っ先に気づいたのは郁。


成績が伸びなくて落ち込んでたこときに気づいてくれたのも郁。


今となっては懐かしい思い出だ。



―――だけど、今はそれが苦手なんだ。特にここ最近の心情は郁だけには特に読み取られたくないものばかりだからだ。




「大丈夫か?
体調が悪いのか?」




「うわっ!」




気が付くと郁は私の顔をかなり近い距離で覗き込んでいた。




「……そんなに離れられると傷つくんだけど?」




「いや…何かいつもより郁がカッコ良いから、変に意識してるみたいで…」




「お、おぉ…そうか!じゃあ、離れないようにデートの定番の“恋人繋ぎ”しますか」




こ、恋人繋ぎ?


何ソレ?
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