恋の施し
「さぁ、楽しみますか。
響花は何乗りたい?」
「アイスが食べたい!」
郁の質問に私は当然の如く即答する。
やはり予想通り視線は感じるものの、そんなのは今に始まった事でもない。
せっかく郁が私の恋のために協力してくれているんだ。
もう、これは楽しまないと損だよね!
遅いけど、その事実に先ほど気付いた私は、私の返答に少し戸惑っている郁をグイっと引っ張る。
「え?乗り物じゃなくてアイス?」
「ポップコーンでも良いよ」
とりあえず小腹が空いたので何か口にしたい気分だった。
「あ、そう…んじゃあ、アイス食べようか」
うん、やっぱり今日の郁はカッコ良いな。認めるよ。
いつもの女の子達に振りまいている笑顔の数倍魅力的に見える。
それにいつもより楽しそう。こんな無邪気な顔、本当に久しぶりだなぁ…
なんだか私まで嬉しくなってしまう。
「うわーあそこで並んでる人カッコ良い…」
「あ、でも彼女いる…」
「羨ましい…」
……でもその分、ちゃっかり女性の皆さんを惹きつけちゃってるわけで。
本当、郁はモテすぎだ。
マスクとかしてくれないかな……