恋の施し


「おいし〜っ!」



シャリッとした頭の引き締まるような冷たい食感に、口の中が癒される。
喉を通る抹茶の冷たさが何とも言えない。たまには抹茶味も良いかも。




「それは良かった」




「あ、後でお金返すね」




小銭を持ち合わせておらず、情けなくも郁におごってもらってしまった。




「良いんだ。デートは男が女に奢るもんなんだから」




「うーん…何か気が引けるな…」




「じゃあ、キスの1つでもしてやれ。そしたら喜ぶ」




そ、そんな大胆な…
私には無理だよ…


しかもそれ、割に合ってないよね?

そう郁に尋ねたけれど、




「好きな奴にされるなら俺は大歓迎だけど?」




と真顔で返答されたのでそうなんだ…と勝手に解釈させていただく。いや、出来る出来ないの問題は置いておいて。それはそれ。これはこれだ。




あ、そういえば…
< 62 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop