恋の施し
「じゃあ、郁はどうしたら良い?」
彼氏じゃなから郁にとってキスは喜ぶことじゃないし。
そもそも彼氏でもキスなんて大胆な事出来ないけれど。その問題は後だ後。
「そうだな…ずっと俺の傍にいてほしい」
たとえ、郁にとって大事な人が出来てしまったとしても。
それは私がずっと郁の大切なポジションで居られるという事だ。
―――この言葉にひどく嬉しく思う自分は…おかしいのかな?
「ふふっ…そんなことなら喜んでだよ!こちらこそ宜しくね?」
「当たり前だろ!
嫌だっつっても離さねぇから」
―――…ホント郁はよく誤解を招く表現をする。
でも、今日は特に…そういう発言は控えてほしい。
何故かその言葉に自分が敏感になってしまっているから。
…ダメだ。何かこれ以上考えたら本当にダメな気がする。
「郁。ハイ、どうぞ」
私は郁にアイスの残り半分を差し出した。