恋の施し
「よし、アイスも食ったし、何乗りたい?」
「じゃあ…ゴンドラ」
「っハハッ…」
「?
何が可笑しいの?」
「いや、だってジェットコースターとか言うかと思ったらそんなマイナーな乗り物かよってな…ハハッ…」
失礼な。
ゴンドラはマイナーじゃない。
左右に大きく揺れ、最後なんて一回転するんじゃないかって程揺れる。
かなりスリリングでそんじゃそこらのジェットコースターよりよっぽど面白い乗り物だ。
別に人気もある。乗れるまで列になってるし。
たまに郁の笑いのツボって分からない。
「悪かったって。拗ねるなよ。ほら、乗りに行くぞ」
郁は少し強引に私の手を引っ張った。
アイスを食べるときに離したはずの手をもう1度握られる。
…触れられた手に少し緊張が走ったのは…多分気のせいだろう。