恋の施し
当時の私は馬鹿だった。
数回しか――それも挨拶ぐらいしか交わした事しかない二ノ宮君が私に告白するなんて有り得ないはずなのに。
私はただ、名前を褒められて、顔が好みだと言われて、人生初の告白をされて、舞い上がってしまっていた。
それをただ私は馬鹿みたいに恋のときめきと勘違いしてしまった。
でもその当時は恋なんてした事がない私なんかに分かるはずもなくて。
だから…
「私も好き!二ノ宮君と付き合う!」
その瞬間、茂みからたくさんの知らない顔の男子が出てきてゲラゲラ笑い始めた。
そして、二ノ宮君が嘲笑しながらその男の人達にこう言った。
「ほら、俺の言った通りだろ?
こういう女はちょっと甘く囁けば簡単に落ちるんだよ」