恋の施し


夕方、雪音が私が休んだ分の授業のプリントやノート等を届けに来てくれた。




「どうしたの!?顔、ひどいよ!?何かあったの!?」



何故か雪音の顔を見ると安心してしまって気が抜ける。




「………っ雪音…!」




私は慌てている雪音に抱き付き、全部話した。




「あんの糞野郎!
一体どうしてくれようかしら?」




部屋から出て行こうとする雪音を懸命に止める。

このまま雪音を外に出したらマズいっ…!





「やめて、雪音!
私は大丈夫だから…っ明日からちゃんと学校に行くから…お願い、何もしないで…?
それに…私も悪いんだよ…馬鹿なのがいけないんだ…」




「私の気が済まない!腐れ外道めが!!
誰も人の気持ちを弄んで金賭けてあげくによく知りもしないくせに臭い息でクソみたいな暴言吐いてんじゃない!!
どう考えても悪いのはあっちでしょう!!」




「わ、私は雪音に話を聞いてもらっただけで充分だからっ…雪音に何かあったら、私嫌だよ…そっちの方がよっぽど嫌だよ…」




私の言葉に足を止め、雪音は少し落ち着いた様子で尋ねてきた。





「…………郁に話すの?」



「…いくら郁でも…今は必要以上に男の人と関わりたくないから…話さない」




ごめんね、郁…
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