恋の施し
郁はあんな男の人とは違うって分かってる。
分かってるんだ。
でも、こんな事話してウザがられて―――郁に嫌われるのが私は恐いんだ。
「……そう。
……じゃあ、私はもうそろそろ帰るね?」
「ありがとう」
私を1人にしてくれる、これは雪音の優しさだ。
言いたい事はもっとあるはずなのに私の気持ちを汲み取って必要以上に言及しないのも彼女の優しさなんだ。
次の日、私は重い足取りで学校に登校した。
クラスメートだから二ノ宮君と嫌でも顔を合わせなければならない。
それを考えるだけで心は憂鬱だった。
でもそれ以上に、コレ以上彼のせいで自分が学校をサボる事の方が本当に屈したみたいで嫌だった。