恋の施し


雪音との会話から2週間。
私は郁を極端に避けまくった。いや、逃げまくっていた。



“やっぱり響花の傍にいることはできない”




――…そう言われるのが恐かったから。


それを考える度に胸が痛かった。



雪音に相談したけれど、結局は当人の問題だと片付けられた。
そして時間がどうせ解決するからとも言われてしまった。


いつも思う。


雪音のあの根拠のない自信はどこからくるんだろう――…?




郁と全く会話ができてないある日。


私は浩平君に呼び出された。場所はただの廊下。
教室を出てすぐの場所だ。




「いきなりなんだけどさ、1回で良いから郁と話してくれない?」




そう、お願いされてしまった。
< 87 / 210 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop