恋の施し
翌日の放課後。
私は楓と帰路に着いていた。
「初めてだね。こうして一緒に帰るの」
「そうだね」
私の気持ちとは正反対の、綺麗な夕焼け。
今日はせっかくのチャンスだというのに嬉しい気分になれなかった。
「あのさ、昨日言ってた俺の話…聞いてくれる?」
「うん、勿論」
返事をするものの、私はどこか上の空で。
楓が隣に居るのに何故か考えているのは彼のあの、言葉ばかり。
これじゃあ、楓に失礼だよね…
しっかりしないと。
私はそう思い直して、足を止め、楓の方へ向き直る。
「単刀直入に言うけど…俺、響花が好きなんだ。だから、付き合ってくれない?」
―――――そうして言われた言葉は私が待ちに待ち望んでいたはずの言葉だった。