恋の施し
翌日の朝。
私は珍しく早めに登校して雪音を待った。
一緒に行けった方が効率的だと思ったけど、郁が居たら困るから結局教室で雪音を待つ事にしたのだ。
「あら。早いね、響花。
じゃあ、校舎裏でも行きましょうか」
雪音は私が言わなくても何をしてほしいか分かったようだ。
雪音は校舎裏にポツンと置いてあるベンチに腰掛けると、開口一番にこう言った。
「―――…で?どうだったの?その様子だと昨日郁と話したんでしょ?」
私は雪音の横に座り、雪音の方へ向き直る。
そして私は郁との会話。
楓に告白されたことも全てそのまま話した。
そして自分の気持ちが分からない、とも。
「そっか…じゃあそんな響花に一つ教えてあげる。本当は口止めされてるんだけど…言っといた方が良い気がする。それでこの話を聞いた後で自分の気持ちにもう1度向き合ってみて」
「?何のこと?」
「中学の頃、郁が1ヶ月休んだ本当の理由」
――…本当の理由?
郁は女遊びをしていたんじゃなかったの…?